男は生き返った!

 男が倒れた。病院へ駆けつけると手術は終わっていた。

まだ麻酔の冷めない男の横で、医師が家族に何やら説明している。

「右半身に麻痺が残るでしょう」すると、まだ意識のないはずの男の左手が静かに動いた。

  ”右を向いていたチンポを掴むと、そーっと左へ”

 

 麻酔から醒めると男は、看護婦にきいた。

    ここは?  病室ですよ。

    あの音は?  お経ですよ。

    隣りは?  葬儀場ですよ。

   隣りの人たちは?  皆さん入れ歯ですよ。

歯ぎしりは聞こえませんよ。聞こえるのはお経だけですよ。

安らかに眠れますよ。 天使の様な優しい声で看護婦は言った。

 

 回復に向かっていた男の症状が急に悪化した。担当医は一両日が山という。

か細い声で男は娘にいった。

    オソトミタイ サクラミタイ

娘はあきれた。死をまじかにして父は、昔の女、さくら姐さんのオソソが見たいという。それでも最後の願いだ。叶えてやることに。

  ”股広げ さくら姐さん オソソ見せ”

 男は声を振り絞り、震える声でいった。

  「観たいのは オソソじゃないの オソト」

  「さくらのオソソじゃないの オソトの桜なの」

 

 それでも男は、右半身に麻痺が残ったものの回復した。

退院すると車いすの生活が始まった。俺は娘に教えてやった。「三途の川は25mある。

泳げない奴は何度でも舞い戻る、と。

次の日娘は、嫌がる男を車いすに縛り付け、水泳教室へつれていった。

1週間がすぎた。

   先生は言う。

      「もうすぐ25M泳げるようになりますよ。」

   娘は言う。

       「先生、ターンはおしえないでね。」