懲りない男

 男は一枚の紙をひらひらさせ、「おい、セックスしてくれ」と言いながら入ってきた。「なんやと!俺の女房に!」店の親父は怒った。 「なに怒ってんねん、これや、これをセックスしてくれ。」

何のことはない、SEXじゃなくてFAXのこと。そしてこの男は、「おい!この機械壊れてるで何回やってももどってくるで」と文句を言う、原稿が先方へ飛んでいくとでも思っているらしい。

 これは、酒屋で立ち飲みをしていた時のこと。この時からこの男との付き合いが始まった。

 

 「静かに!今からドレミの歌を“屁”で歌う。」マイクを尻にあてがい下腹に力を籠める、最大ボリュームのスピーカーから匂いがながれた。

 「 ごめん! ”ド がでんと ”ミ” がでた。」

これは、去年の忘年会でこの男がやらかした本当の話。

      

「 おい、何とかしてくれ。」ある日、しょぼくれて男がやってきた。女癖の悪いこの男、よりによってヤクザの女に手を出した。

「『ちんぽちょん切るか、大阪湾に沈めるか、どっちにする!』とヤクザみたいなこといいよるねん、どないしょ」

「そら大阪湾のほうがええやろ、まだ寒ないし」「そう冷たいこと言わんと頼む」と何度も頭をさげる。少し可哀想になってきたし、義を見てせざるは勇無きなりともいう。

 「よし、分かった!あとは俺に任せろ」

       ”弔辞は俺がよんでやる”