屁⁉ 屁⁉ へえ~!!

 左の指は、左甚五郎の眠り猫を彫るノミが如く繊細に。

右の指は、葛飾北斎の筆先の如く、乳房に富嶽百景を描く。

    女の肌はうっすら桜色。

       ほのかに匂う加齢臭。

 見よ!この職人技を!。つけっぱなしのテレビが叫ぶ。凄技だ~!!。

 アナコンダのような太い脚が俺を締め付ける。”穴ここだ”と俺を急き立てる。

そして、2人がクライマックスを迎えんとしたその時。

    『あっ!---------ごめん!』

             俺の金玉はブルブルと震えた。

 

 昭和の初め、ライオン宰相と国民に慕われた浜口雄幸、右翼青年に腹を撃たれた。

 手術は成功したが、腸が繋がった証の屁が出ない、国民は屁の出るのを待ち望んだ。

 三日目、待望の屁が出た。

 

     屁一つ 秋の世界の 晴れ渡る

 

     秋の夜や 天下に響く 屁一つ

 

     寒月や ライオンの屁に ゆらめけり

 

  こう詠んで国民は喜んだ。

  浜口首相は、国民への感謝を込め、こう詠んだ。

 

      金玉や 女房の屁に 揺らめけり